外交・安全保障調査研究事業費補助金「『ポスト・ウクライナ』世界を生き抜くための外交・安全保障の構想と研究能力の抜本的強化」

2023年度より、外務省の外交・安全保障調査研究事業費補助金を得て「『ポスト・ウクライナ』世界を生き抜くための外交・安全保障の構想と研究能力の抜本的強化」を開始しました。
2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵略を受けて、日本の外交・安全保障政策のあり方について検討するための大型プロジェクトです。日本の地域研究力を底上げするとともに、新たな形態・手法の安全保障政策研究にも果敢に挑戦していきます。

分科会

研究会「ロシア・ウクライナ戦争の背景・展望・帰結」

ロシアによるウクライナ侵略は、大規模国家間戦争が現実の脅威であり続けていることを改めて突きつける事態でした。では、この戦争は何故起きたのか、防ぐことはできなかったのか、将来の日本の安全保障に対する示唆は何か、などを地域研究と安全保障研究の知見を総合して掘り下げることを本分科会では目的としています。

研究会「ユーラシア諸地域の内在論理」

本分科会では中国を中心としたユーラシアの権威主義体制諸国に関する研究を行います。特に、個別の国・地域だけでなく、それらの国・地域間の関係性を実態に即して観察し、分析することに重点を置きます。また、米中対立や中露連携といった大国間政治だけで説明しきれない複雑なダイナミクスにも光を当てます。

研究会「中東・イスラーム世界の多極化と均衡」

中東・イスラーム世界は「イスラーム国」等の過激主義の拡散や、部族・地域・民族による細分化された領域支配が行われる混沌とした状況にあると共に、イランやトルコなど地域大国の主導する地域秩序の再編や、イスラエルやサウジアラビアを軸とした結集軸の形成が試みられています。本分科会では、中東・イスラーム世界の新秩序の形成を見届けていきます。

研究会「情報・認知領域の安全保障」

2022年の国家安全保障戦略改訂により、日本でも情報・認知領域が安全保障の一分野として公的に位置付けられました。
しかし、情報・認知領域の安全保障に関する取り組みはいまだに十分とは言えません。これまでは言語の壁に守られてきた日本の情報空間ですが、AIの発達はこうした状況を大きく変える可能性があります。
また、情報・認知領域に関して過度な規制を行えば、これは言論・思想の統制という極めて望ましくない事態を引き起こし、安全保障政策が守るべき社会の民主的ありようを損なうことになります。
以上のような複雑な状況の中で、情報・認知領域安全保障に関する最新の研究動向を把握し、具体的な政策提言にもつなげていくことが本分科会の目的です。

研究会「広域中央アジアの重畳化する安全保障環境」

広域中央アジア(GCA)は、環境安全保障、エネルギー安全保障、海洋安全保障、テロ問題、サイバーセキュリティといった諸課題に直面しており、中国は一帯一路構想(BRI)や上海協力機構(SCO)を通じてこの地域での存在感を高めています。本分科会はGCAという地域概念に基づいて、これら安全保障上の諸課題の相互作用に重点をおいて研究を推進します。

研究会「安全保障政策研究のための衛星画像分析」

「『ポスト・ウクライナ』世界を生き抜くための外交・安全保障の構想と研究能力の抜本的強化」の一部として設置されたものです。
高分解能の光学衛星画像と合成開口レーダー(SAR)画像を使用し、これらの情報を地域研究や安全保障研究の知見と結びつけることを目指します。特に日本周辺の安全保障環境を理解し、適時に情報を発信する体制を整えるため、中国、北朝鮮、極東ロシア、その他のインド太平洋地域に重点を置いた分析を目指しています。

研究会「先端科学技術と安全保障」

ROLESでは東京大学と先端科学技術研究センターの幅広い分野に及ぶ研究者の知的リソースを活用し、文理融合・横断の共同研究を積極的に提案しています。

「『ポスト・ウクライナ』世界を生き抜くための外交・安全保障の構想と研究能力の抜本的強化」では、先端科学技術の発展が外交・安全保障とその研究に及ぼす影響を対象にする研究会「先端科学技術と安全保障」を設定しました。

この研究会では新興科学技術が外交・安全保障に及ぼす影響に着目し対象化しつつ、自らも新しいテクノロジーとツールを用いて安全保障研究を推進し、その積極的な成果発信を試みています。

ROLESは東京大学の内外で常時活発に行われている、学部や領域を横断した共同研究に参加し、下記のようなテーマで文理融合・横断の外交・安全保障研究を実験しています。

(1)「国際紛争のデータ・ビジュアライゼーション」
(2)「ロボティクス・仮想現実・拡張現実が変える戦争と平和」
(3)「フェイクニュースと国際世論」
(4)「AIはゲーム・チェンジャーか?」

(1)「国際紛争のデータ・ヴィジュアライゼーション」
ROLESは東京大学大学院情報学環・学際情報学府の渡邉英徳教授の研究室と文理横断・融合のコラボを行い、地理空間情報を総合的に把握し利用した、外交・安全保障研究の新たな様式を考案し、提示します。

衛星画像や古地図・記録写真、それらのビッグデータや機械学習等を用いて、ロシア・ウクライナ戦争やガザ紛争などによる被害状況、2023年2月のトルコ・シリア地震などの自然災害の影響、外交・安全保障・国際関係の歴史的事象を、「見える化(ビジュアライズ)」する手法と実例を提案します。

(2)「ロボティクス・仮想現実・拡張現実が変える戦争と平和」
ROLESは東京大学先端科学技術研究センターの稲見昌彦教授(身体情報学・身体拡張工学・自在化技術・ゲーミフィケーション・エンタテインメント工学)、門内靖明准教授(身体情報学・高周波工学) と協力し、ロボティクスや仮想現実・拡張現実が外交・安全保障に及ぼす影響を、文理融合・横断の手法を開発しながら解明します。

(3)「フェイクニュースと国際世論」

(4)「AIはゲーム・チェンジャーか?」

活動記録

2024.07.03 (水)

ニュース

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2024年7月 メディア出演掲載情報

2024.06.30 (日)

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2024年6月 メディア出演掲載情報(6月30日更新)

2024.05.31 (金)

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2024年5月 メディア出演掲載情報(5月31日更新)

2024.05.15 (水)

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【出版】中井遼教授が新著『ナショナリズムと政治意識 「右」「左」の思い込みを解く』を刊行

2024.05.10 (金)

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ジラルデッリ青木美由紀先生(ITU)が『季刊アラブ』に在イスタンブル旧日本大使館秘話を寄稿

2024.04.30 (火)

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2024年4月 メディア出演掲載情報(4月30日更新)

2024.04.01 (月)

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【着任】中井遼教授

2024.03.31 (日)

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2024年3月 メディア出演掲載情報(3月31日)

2024.02.29 (木)

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2024年2月 メディア出演掲載情報(2月29日更新)

2024.01.31 (水)

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2024年1月 メディア出演掲載情報(1月31日更新)

2023.12.31 (日)

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2023年12月 メディア出演掲載情報(12月31日更新)

2023.12.23 (土)

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動画配信

日経Think!主催「2024年大予測 激動の世界を読み解く」に登壇(池内教授・小泉准教授)

2023.12.22 (金)

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報告書公開

『2024年版PHPグローバル・リスク分析』の取りまとめに参加

2023.12.21 (木)

ニュース

報告書公開

ROLESCast第12・13回「ハマースによる越境攻撃とイスラエル情勢」「イスラエル・ハマース戦争1ヶ月」が『フォーサイト』で記事化

2023.11.30 (木)

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2023年11月 メディア出演掲載情報(11月30日更新)

2023.10.31 (火)

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2023年10月 メディア出演掲載情報(10月31日更新)

2023.09.30 (土)

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2023年9月 メディア出演掲載情報(9月30日更新)

2023.09.22 (金)

動画配信

トーク

ROLESCast #011 アゼルバイジャンの「対テロ作戦」− 紛争の背景と今後

2023.09.21 (木)

動画配信

トーク

ROLESCast#010 金正恩の訪露と朝露関係−「戦略・戦術的協力強化」の現状と展望

2023.08.31 (木)

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2023年8月 メディア出演掲載情報(8月31日更新)

2023.07.31 (月)

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2023年7月 メディア出演掲載情報(7月31日更新)

2023.06.30 (金)

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2023年6月 メディア出演掲載情報(6月30日更新)

2023.05.31 (水)

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2023年5月 メディア出演掲載情報(5月31日更新)

2023.04.30 (日)

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2023年4月 メディア出演掲載情報(4月30日更新)

2021.09.04 (土)

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報告書公開

ROLESCast第3回が『フォーサイト』で記事化

2021.09.04 (土)

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報告書公開

ROLESCast第3回が『フォーサイト』で記事化

構成メンバー

小泉悠/Yu KOIZUMI

准教授(国際安全保障構想分野)
ロシア・旧ソ連諸国の軍事・安全保障政策 国際関係論

早稲田大学大学院修士課程を修了後、民間企業、外務省専門分析員等を経て、2009年、未来工学研究所に入所。2017年に特別研究員となり、2019年2月まで勤務。
この間、外務省若手研究者派遣フェローシップを得てロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所に滞在したほか(2010-2011年)、国立国会図書館調査及び立法考査局でロシアの立法動向の調査に従事した(2011-2018年)。
2019年3月、東京大学先端科学技術研究センター特任助教(グローバルセキュリティ・宗教分野)に就任し、2022年1月より同専任講師。2023年12月より現職。専門は安全保障論、国際関係論、ロシア・旧ソ連諸国の軍事・安全保障政策。
笹川平和財団上席フェローを兼任。

Research Map

池内恵/Satoshi IKEUCHI

教授(グローバルセキュリティ・宗教分野)
イスラーム政治思想 中東政治
「体制間競争の時代における日本の選択肢」事業総括
中東・イスラーム世界のオルターナティブに関する分科会・座長

立田由紀恵/Yukie TATTA

特任研究員
ボスニアの宗教と民族間関係 宗教学
中東・イスラーム世界のオルターナティブに関する分科会・幹事
インド太平洋交通安全保障に関する分科会・幹事
政策シミュレーション研究プロジェクト・幹事

Specially Appointed Researcher
Religion and Inter-ethnic Relations in Bosnia Religious Studies
Subcommittee on Alternatives in the Middle East and the Islamic World, Secretary
Secretary, Subcommittee on Indo-Pacific Transportation Security
Secretary, Policy Simulation Research Project

鍛治一郎/Ichiro KAJI, Ph.D.

特任研究員
日本政治外交史 日米関係史
米国・既存秩序の動揺に関する分科会・幹事
日米安保資料プロジェクト・幹事

山口亮/Ryo HINATA-YAMAGUCHI, Ph.D.

特任助教
アトランティック・カウンシル(米)スコウクロフト戦略安全保障センター上席客員フェロー
パシフィック・フォーラム(米)上席客員フェロー

インド太平洋地域安全保障問題
防衛戦略論
交通政策論
インド太平洋交通安全保障に関する分科会・座長
政策シミュレーション研究プロジェクト・座長

東京大学先端科学技術研究センター特任助教。長野県佐久市出身。専門は防衛政策、安全保障、国際政治、比較政治、交通政策。オーストラリア国立大学アジア研究学部卒、同大大学院戦略防衛研究科修士課程修了(豪)、ニューサウスウェールズ大学大学院キャンベラ校人文社会研究科博士号取得(豪)。パシフィックフォーラム研究フェロー(米)、ムハマディア大学マラン校客員講師(尼)、釜山大学校経済通商大学国際学部客員教授(韓)を経て、2021年8月より現職。

Twitter: @tigerrhy
Instagram: https://www.instagram.com/tigerrhy/
Blog: https://note.com/tigerrhy/


国末憲人/Norito KUNISUE

特任教授(グローバルセキュリティ・宗教分野)
欧州政治、紛争研究

1963年岡山県生まれ。1985年、大阪大学卒業。1987年に紀行「アフリカの街角から --サバンナ人間紀行」で第3回ノンフィクション朝日ジャーナル大賞優秀賞を受賞。同年、パリ第二大学新聞研究所を中退し、朝日新聞社に入社。

富山・徳島・大阪・広島での支局勤務を経て、パリ支局員(2001〜2004年)、外報部次長(2005~2007年)、パリ支局長(2007~2010年)。論説委員、GLOBE副編集長等を経て、GLOBE編集長(2016~2019年)、ヨーロッパ総局長(2019年~2022年)、編集委員(ヨーロッパ駐在、2022~2023年)、論説委員(2023年)

この間に青山学院大学文学部フランス文学科で非常勤講師も務める(2015〜2018年)。

代表的な連載署名記事に「バービー誕生」全5回、朝日新聞社会面(1994.09.26-09.30)、「平和のメッセージ」全 10 回、朝日新聞広島版(1996.08.26-09.05)、「バグダッドに生きる」全 5 回、朝日新聞国際面(2003.02.12-02.16)、「生きている遺産 消えた村から」全 6 回、朝日新聞夕刊(2009.04.18-04.24)、「生きている遺産 モロッコの広場から」全 5 回、朝日新聞夕刊(2009.07.13-09.17)、「端っこをたどって」全 10 回、朝日新聞夕刊(2014.05.26-06.06)、「黒い大地をたどって」全 10 回、朝日新聞夕刊(2016.10.24-11.07)、「ナゴルノカラバフ往還記」全 5 回、朝日新聞夕刊(2020.12.21-12.25)、「ボスニア 分断の現在地」全 4 回、朝日新聞国際面(2021.02.24-02.27)、「チェルノブイリ、廃虚の街から」全 5 回、朝日新聞夕刊(2021.06.21-06.25) 等がある。

定期連載コラムに、『朝日新聞』「ザ・コラム」(2016.03-2017.09)、『朝日新聞』「日曜に想う」(2021.03-2023.10)、月刊『ふらんす』「アクチュアリテ」「フランス政治を嗤え」(2001-2014)等がある。

朝日新聞論説委員の傍ら、2023年7月〜12月に東京大学先端科学技術研究センター客員上級研究員を兼任する。2023年12月末に朝日新聞社を退社、2024年1月より現職。

刊行物

2024.07.19 (Fri.)

Commentary

China’s activities in the South China Sea (ROLES SAT ANALYSIS No.8)

2024.07.16 (火)

コメンタリー

田中祐真「2022年夏以降のウズベキスタン内政の動き ―「改革者」の権威主義への回帰?―」(ROLES Commentary No. 26)

2024.06.22 (Sat.)

Commentary

Moves to conduct nuclear tests in China – Image analysis of the Lop Nur nuclear test site – (ROLES SAT ANALYSIS No. 7)

2024.06.01 (土)

コメンタリー

南シナ海における中国の活動(ROLES SAT ANALYSIS No. 8)

2024.05.27 (月)

コメンタリー

豊田耕平「日本・中東エネルギー協力の未来」(ROLES Commentary No. 22)

2024.05.27 (Mon.)

Commentary

[Conference Papers] Kohei Toyoda "The Future of Energy Cooperation between Japan and the Middle East"

2024.05.22 (水)

コメンタリー

ROLES SAT ANALYSIS No.7 中国に核実験実施の動き ー Lop Nur核実験場の画像分析 ー

2024.04.08 (月)

コメンタリー

ROLES SAT ANALYSIS No.6 ロシアのウクライナ侵攻を振り返る (2年間の変化)

2024.04.08 (月)

コメンタリー

ROLES SAT ANALYSIS No.5 ロシアのウクライナ侵攻を振り返る (2023年)

2024.04.06 (土)

コメンタリー

ROLES SAT ANALYSIS No.4 ロシアのウクライナ侵攻を振り返る (2022年)

2024.03.04 (月)

論文

ROLES REPORT No.30 衛星画像を用いた中国の戦略核戦力増強の現状に関する分析

2024.02.26 (月)

コメンタリー

ROLES COMMENTARY No. 14 西山美久・田中祐真「ロシア・ウクライナ戦争下における中央アジア情勢」

2024.02.01 (木)

コメンタリー

ROLES SAT ANALYSIS No.3 中国内陸部における ICBM サイロ建設の状況(3)

2023.12.19 (Tue.)

Commentary

ROLES SAT ANALYSIS No.2 China’s ICBM Silo Constructions In Hami Area (2)

2023.12.15 (金)

コメンタリー

ROLES SAT ANALYSIS No.2 中国内陸部における ICBM サイロ建設の状況(2)

2023.11.27 (Mon.)

Commentary

ROLES SAT ANALYSIS No.1 China’s ICBM Silo Constructions In Hami Area (1)

2023.11.24 (金)

コメンタリー

ROLES SAT ANALYSIS No.1 中国内陸部における ICBM サイロ建設の状況(1)

2023.09.11 (月)

コメンタリー

ROLES Commentary No.10 田中祐真「ウクライナ国防相の人事交代 ―レズニコフ退任とウメロフ就任の背景―」

2023.06.16 (金)

論文

ROLES REPORT No.25 桒原響子「カナダの偽情報対策にみる 成果と課題: 日本へのインプリケーション」

2023.06.01 (木)

コメンタリー

ROLES Commentary No.9 田中祐真「ゼレンスキー政権におけるウクライナ大統領府の存在 ―イェルマーク長官への権力の集中―」

2023.05.08 (月)

コメンタリー

ROLES Commentary No.8 田中祐真「中・ウクライナ首脳電話会談前後の動きから読み取れるウクライナの最近の対中姿勢」

2023.04.28 (金)

論文

ROLES REPORT No.24 田中祐真「ポーランドの対ウクライナ姿勢―ウクライナとの『連帯』における政治的・心情的背景―」