突然ですが、ROLESのニューズレターを始めました。「シンクタンク」と名乗るからには毎月のニューズレターぐらいなければいかんだろう、と以前から思っていましたが、手が回らずに、懸案事項として残っていました。頃合いを見て、諸般の事情を鑑みて、年末に「中小企業のオヤジの鶴の一声」を発して、ニュースレター創設を決めたところ、小泉悠准教授が陣頭指揮をとって原稿を取りまとめ、編集し、大急ぎで刊行に漕ぎ着けてくれました。
今後、毎月末に、ROLESウェブサイトに掲載されていきます。ROLESには創設時から小泉悠さんという、とにかく原稿依頼が来たら断らないであらゆるところに発表する人がおり、そこに2024年初に特任教授として全面参入した国末憲人さんという、毎日でも文章を発信することを厭わない人がいます。さらに2024年4月には中井遼教授が先端研に着任して、活発に著書・論文を発表しています。
ROLESを共に運営するこれらの書き手によって、読むのが追いつけないほどの文章が、日々に生み出されています。それだけで、ROLESのシンクタンクとして必要な発信量や社会的な関心は、全体として足りていると言うこともできるでしょう。しかし、東大先端研には、ROLESの推進のために他にも多くの常勤の特任助教や特任研究員が所属しており、それぞれに全く異なる専門分野での研究の蓄積があります。そこから得られる国際政治・外交・安全保障への知見は底知れぬ深みを備えています。高度に専門化された地域研究・国際政治の研究者をここまで多数、常勤の研究者として擁しているシンクタンクも、少ないのではないでしょうか。ROLESを2020年に始めてからまもなく5年が経とうとしていますが、その間にROLESはここまで大きくなりました。ROLESを運営する研究者は、当初の中東やロシアの宗教や軍事だけでなく、世界の広範囲の地域をカバーし、独自の視点で研究を進めています。ROLESに集まった知的資源を、ROLESの内側の日々の会話に留めておくのは、もったいない。
このニューズレターでは、私や小泉准教授、中井教授や国末特任教授など、普段なにかと露出することが多く、「主役」になりがちなROLES幹部は、あえて前面に出ず、裏方、黒子に徹します。日々にROLESのプロジェクト推進に忙しく従事している、東大先端研の常勤の特任助教や特任研究員たちが、月末に、研究者としてその瞬間にやっていること、考えてきたことを振り返り、浮かび上がってくることを、書き記し、発表する。ある特定のテーマについて、何年も、中には何十年も、あらゆる側面から考え続けてきた人たちが書くものです。必ずどこかで、読んで何かのヒントを得て、次につながる何かを持ち寄ってくれる人たちが、現れることでしょう。(池内恵・先端研教授/ROLES代表)