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報告書公開
2026.06.20 (土)
【寄稿】イラン戦争後の国際秩序に関する論考掲載(滋野井客員研究員)
「ペルシア湾岸の新秩序」ユニット
ROLES客員メンバーの
滋野井研究員
の論考「[イラン戦争はどこまで続くか4]テヘランは「パックス・イラニカ」の夢を見るか?――イラン戦争後の国際秩序」が2026年5月24日に『新潮QUE』に掲載されました。
本論考では、5月24日時点の情勢分析として、米・イラン交渉が米国の軍事的完全勝利ではなく、米国側の一定の妥協によって合意に近づく可能性を検討しています。特に、米国が核問題での限定的成果を得る一方で、イランのミサイル能力、代理勢力ネットワーク、ホルムズ海峡に対する影響力を事実上追認するような停戦が成立する可能性に注目しています。
また本論考は、米・イラン交渉の結果として、イランが制裁解除、凍結資産の解放、原油輸出や金融取引の回復といった経済的権益を獲得する可能性を分析しています。その場合、イランは戦争で大きな被害を受けながらも、停戦後には軍事的・経済的により強い国家として再浮上し、中東秩序における立場を大きく引き上げる可能性があります。
本論考の中心的な問いは、イランが中東を支配するかどうかではなく、イラン抜きに中東秩序を管理できるかどうかです。近い将来に成立し得るのは、安定した「パックス・イラニカ」ではないかもしれません。より現実的なのは、イランが中東を積極的に統治する帝国的な覇権国家になることではなく、中東秩序を自国抜きには成立させず、地経学的な影響力をも行使する大国になる可能性です。
特に本論考では、ホルムズ海峡の統制が停戦交渉の中に組み込まれ、制度化される可能性を論じています。ホルムズ海峡は、米国主導の自由航行秩序だけで維持される空間ではなく、イランが政治的価格を設定する空間へと変わりつつあります。イランは船舶を全面的に止めるのではなく、誰を通し、誰に圧力をかけるかを選択することで、海上交通とエネルギー輸送を交渉資源に変えようとしていると位置づけられます。
その上で本論考は、イランが「秩序の破壊能力」をパワーにする秩序形成者として台頭する可能性を検討しています。それは協調的な秩序ではなく、安定した平和でもありません。むしろ、不安定性を交渉資源に変える秩序です。現実の国際政治において、覇権は常に秩序の提供だけによって成立するわけではありません。時に、秩序の破壊能力こそが交渉力の源泉になります。本論考は、イランが獲得しつつあるのは、まさにそのような力であると指摘しています。
詳細は以下よりご覧ください:
[イラン戦争はどこまで続くか4]テヘランは「パックス・イラニカ」の夢を見るか?――イラン戦争後の国際秩序
https://que.dailyshincho.jp/node/18561/
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