報告書公開

【寄稿】イラン戦争の見通しに関する論考掲載(滋野井客員研究員)

ROLES客員メンバーの滋野井研究員の論考「[イラン戦争はどこまで続くか3]限られてゆく米国の選択肢、高まる長期消耗戦の可能性」が2026年4月3日に『Foresight』に掲載されました。

本論考では、イラン戦争において米国の選択肢が狭まりつつあること、そして戦争が短期決戦ではなく長期消耗戦へ移行する可能性について分析しています。米国が提示する停戦条件の核心は、停戦後のイランの核・ミサイル能力、代理勢力ネットワーク、ホルムズ海峡への影響力を制限し、イランの抑止力を削ることにあります。これに対して、イラン側の核心的要求は、将来の再攻撃を防ぐ政治的・戦略的保証にあります。

本論考は、米国とイランの停戦交渉が単なる要求水準の違いによって停滞しているのではなく、双方が相手のエンドステートそのものを否定し合っている点に注目しています。米国はイランの抑止力を削がなければ戦争を終えられず、イランは抑止力と体制保証を失う条件では戦争を止められません。そのため、現在進んでいるのは停戦のための交渉ではなく、相手の停戦条件を書き換えるための戦争であると指摘しています。

また本論考では、米国とイスラエルが直面する弾薬・財政上の制約を検討しています。戦争のテンポが弾薬の再装填速度を上回り始めており、長距離打撃能力や迎撃能力の維持が困難になりつつあることを指摘しています。これにより、米国には、①エスカレーションによる短期決戦、②一方的な停戦・勝利宣言、③現状維持という名の長期化という三つの選択肢が残される一方、いずれの選択肢も戦争の終結ではなく、むしろ長期消耗戦への移行を招き得ると分析しています。

特に本論考は、ホルムズ海峡をめぐるイランの「選択的統制」に注目しています。イランが狙うのは、船舶を一切通さない全面封鎖ではなく、誰が、どの条件で、どれほどのコストを払って通るのかを決めることです。これにより、ホルムズ海峡は単なる海上交通路ではなく、イランが戦争コストを世界経済に外部化し、米国・イスラエル・湾岸諸国の計算を変えさせるための戦略的レバーとなりつつあります。

その上で本論考は、この戦争を「いつ終わるか」という問いだけで捉えることの限界を指摘しています。むしろ焦点は、米国・イスラエルの軍事的・財政的制約、イランの選択的統制能力、湾岸諸国と国際社会の関与のうち、何が先に変化するかにあります。本論考は、この戦争は、誰かが「勝利」を宣言した瞬間に終わるのではなく、ホルムズ海峡と世界経済に刻み込まれた「選択的統制」の時代として、形を変えて続いていく可能性がある結んでいます。

詳細は以下よりご覧ください:

[イラン戦争はどこまで続くか3]限られてゆく米国の選択肢、高まる長期消耗戦の可能性
https://que.dailyshincho.jp/node/17230/

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