ROLES客員メンバーの
滋野井研究員が、2026年4月27日放送のNHK「国際報道2026」に出演し、イラン戦争をめぐる情勢について解説しました。同内容は、2026年5月8日に「【滋野井さん解説・イラン情勢】米とイランで続く駆け引き 今後の『シナリオ』は?」としてNHKの番組ページで公開されました。
番組では、米国とイランの間で続く停戦交渉をめぐる駆け引き、ホルムズ海峡の封鎖と米国による「逆封鎖」、今後の戦争継続・停戦・再エスカレーションの可能性などについて取り上げられました。
滋野井研究員は、今回の停戦交渉をめぐって、イラン側と米国側の間には当初から立場のずれがあったと説明しました。イラン側は、米国によるホルムズ海峡の逆封鎖が続く限り交渉には応じないという姿勢を示している一方、米国側はイランが仲介地に出てくるなら交渉に応じるという立場をとっており、両者の動きは交渉の破綻や妥協というよりも、停戦交渉をめぐる主導権争いの一環であると指摘しました。
また、今後の展開として、①米国・イスラエルによる大規模攻勢の再開、②長期消耗戦、③米国による一方的な勝利宣言と撤退、④米国側の譲歩による停戦合意、という4つのシナリオを提示しました。特に現在の情勢については、米国とイランの戦闘がこう着状態に陥り、イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖と、米国による逆封鎖が続くなかで、軍事的・経済的な消耗戦が長期化する可能性があると論じました。
滋野井研究員は、長期消耗戦には、ミサイルやドローンによる低強度の攻撃が続く軍事的消耗戦と、ホルムズ海峡を通じた海上交通・エネルギー供給への圧力、米国によるイラン関連船舶の取り締まり、イランの石油輸出への圧力をめぐる経済的消耗戦の二つの側面があると説明しました。その上で、イランはホルムズ海峡を通じて世界経済に圧力をかけ、外圧によって米国やイスラエルの行動を変えようとしている一方、米国はイランの経済的命脈である石油輸出を抑えようとしていると分析しました。
また、イランがどの程度持ちこたえられるかについて、同国の体制は軍事的攻撃に対して一定の強靭性を示している一方、米国の逆封鎖による経済的圧力の効果は時間差を伴って現れる可能性があると指摘しました。イランには輸送中・洋上貯蔵中の原油が存在するとされ、逆封鎖の影響がどの時点で深刻化するかについては複数の見方があるものの、経済的打撃は遅れて顕在化する可能性があると説明しました。
さらに、イランのアラーグチー外相によるパキスタン、オマーン、ロシア訪問について、停戦交渉における戦略的に組み立てられた外交攻勢であると分析しました。パキスタンは米・イラン停戦の仲介国であり、オマーンはホルムズ海峡を共有する国であることから、封鎖や将来的な海上交通管理をめぐる実務的協議が行われた可能性があると指摘しました。また、ロシアについては、今後の核交渉を見据えた後ろ盾を得る狙いがあった可能性があると論じました。
番組では、イランが提示しているとされる「二段階交渉案」についても解説しました。滋野井研究員は、これは和平案というよりも停戦管理案として現実的な方策であり、まず交渉の障害となっているホルムズ海峡の封鎖と米国の逆封鎖を処理し、戦闘を緩和したうえで、核問題というより大きな争点に取り組むという発想は、停戦の入り口として理にかなっていると説明しました。
最後に、イランが支援するヒズブッラー、ハマス、イエメンのフースィー派などの「抵抗の枢軸」の今後についても言及しました。滋野井研究員は、抵抗の枢軸の帰趨はこの戦争がどのような形で終わるかに大きく左右されると指摘しました。イランは自国のみならずレバノンやイエメンを含む戦争の終結を求めている一方、米国はイランに対して代理勢力への支援停止を求めており、この論点が米・イラン双方の停戦条件の対立点の一つになっていると説明しました。
詳細は以下よりご覧ください。
【滋野井さん解説・イラン情勢】米とイランで続く駆け引き 今後の「シナリオ」は?
https://www.web.nhk/tv/an/kokusaihoudou/pl/series-tep-8M689W8RVX/bl/pDAZdogaO5/bp/pglP4Zl6zg関連ニュース:・2026.5.24
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