報告書公開

【寄稿】イラン戦争の制約条件とシナリオに関する論考掲載(滋野井客員研究員)

ROLES客員メンバーの滋野井研究員の論考「[イラン戦争はどこまで続くか]米・イスラエル・イランの『制約条件』から見たシナリオ」が2026年3月4日に『Foresight』に掲載されました。

本論考では、2026年2月28日に始まった米・イスラエルによる対イラン攻撃をめぐり、戦争の出口を規定する「制約条件」に注目しながら、今後の展開シナリオを分析しています。焦点は、各国指導者の意思や修辞ではなく、ミサイルと迎撃弾の消耗、米国の作戦継続を縛る法的・制度的制約、そして世界経済への波及が生む外圧にあります。

本論考は、米国の視点から見たベースシナリオとして、作戦期間は2〜4週間、最大でも2カ月程度になる可能性があると指摘しています。その背景には、米軍の巡航ミサイルや精密誘導兵器の消費ペースに加え、THAADやSM-3などのミサイル迎撃システムの弾数制約があります。また、米国には戦争権限法に基づく制度上の時間制約もあり、作戦の戦略目標を最大化するよりも、一定期間内に「勝ち筋」を作り、停戦に移行する誘因があると論じています。

一方で、イスラエルの視点から見れば、戦争の持久力は米国とは異なる論理で決まります。イスラエルが航空優勢を確保し、イランのミサイル備蓄や生産能力を大きく損耗させることができれば、迎撃弾の残数をめぐる制約は相対的に弱まり、作戦継続の誘因が強まります。その場合、イスラエルはイランの体制・軍事能力だけでなく、経済基盤やインフラに対しても長期的に圧力を加え続ける可能性があります。

これに対して、イランの視点から見れば、戦争の目的は米国やイスラエルに軍事的に勝利することではなく、戦争コストを中東全域と世界経済に外部化し、外圧によって米国・イスラエルの作戦継続を挫くことにあります。本論考は、イランが湾岸諸国のエネルギー施設、空港、民間インフラ、ホルムズ海峡などを標的化することで、米国や世界からの圧力によってイスラエルを止めようとしている可能性を指摘しています。

また本論考では、イランが直面するトレードオフも検討しています。イランは、短期で最大の混乱を作るためにミサイルやドローンを集中的に使用すれば、手元の弾薬を急速に減らすことになります。他方で、攻撃ペースを落として戦力を温存すれば、世界経済に対する外圧を生む破壊効果は弱まります。つまり、イランは「短期で最大の混乱を作る」のか、「長期で持続的に圧力をかける」のかという難しい選択に直面しています。

結論として本論考は、米国とイランには能力的・制度的制約から比較的早期に出口を模索する誘因がある一方で、イスラエルには優位性を拡大できる局面ほど作戦継続の誘因が強まると分析しています。今後の展開を読むには、イランのミサイル発射テンポ、備蓄・発射機・生産拠点の損耗度、米・イスラエル側の迎撃弾の補給・再配置、湾岸諸国のエネルギー生産とホルムズ海峡の商業航行、米国内の議会・世論の反応を継続的に見る必要があると論じています。

詳細は以下よりご覧ください:

[イラン戦争はどこまで続くか]米・イスラエル・イランの「制約条件」から見たシナリオ
https://que.dailyshincho.jp/node/17062/

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