2023年5月のタイ下院総選挙で躍進し最多議席を獲得した前進党（今年８月に解党命令を受ける。後継政党は国民党）の前党首で首相候補となったピター・リムジャロェーンラット・ハーバード大学ケネディ行政学院シニア・リサーチ・フェロー（Pita Limjaroenrat, Senior Research Fellow, Harvard Kennedy School）が来日し、2024年12月17日に、東大先端研創発戦略研究オープンラボ（ROLES）を訪問し、研究会「自由・民主主義分析の実証的方法と応用」の企画として開催された招待制のセミナーで、「タイ政治を解読する（Decoding Thai Politics）」と題した講演と質疑応答を行いました。また、アヌポン・タンピーラチャイクン・ヌーバレント社主任研究員（Dr. Anupong Tangpeerachaikul, Principal Scientist, Nuvalent, Inc.）が同行し、講演「岐路に立つタイのバイオテクノロジー（Thailand's Biotechnology at a Crossroads）」を行いました。

セミナーでは外山文子・筑波大准教授が司会およびタイ政治研究の立場からコメントを行い、竹中治堅・政策研究大学院大学教授が比較政治・民主化論・政軍関係等の観点からコメントと質問を行いました。ピター氏の講演と応答はタイの政治での自身の経験を踏まえた上で、ハーバード大学での研究を踏まえた理論的なものとなりました。
セミナーには、タイ政治・東南アジア政治や国際開発の研究者・実務家、報道各社、経済団体、タイからの留学生や、ミャンマーの民主化活動家など多様な背景を持つ聴衆が参加し、自由な議論を行いました。

ピター氏とアヌポン氏は今回の来日で国会、関係省庁、経済団体、メディア、在日タイ社会との交流を行い、下記のように報じられています。

「タイ元最大野党党首ピター氏「首相に立候補したい」『日本経済新聞』2024年12月19日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB17C6B0X11C24A2000000/

「タイ元野党党首、首相立候補意欲」『日本経済新聞』2024年12月19日
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO85564030Y4A211C2FF2000/

"Thailand's Pita keen to return as PM candidate after political ban: Former opposition leader calls repeated party dissolutions a 'vicious cycle'" Nikkei Asia, December 19, 2024.
https://asia.nikkei.com/Politics/Thailand-s-Pita-keen-to-return-as-PM-candidate-after-political-ban

「「新しい世代が未来決める」 解党命令のタイ最大野党のピター元党首」『朝日新聞』2024年12月19日
https://digital.asahi.com/articles/ASSDL3CM9SDLUHBI02FM.html

「カリスマ的人気のピター氏 「タイ政治の犠牲者、私で最後に」」『毎日新聞』2024年12月19日
https://mainichi.jp/articles/20241218/k00/00m/030/322000c

【参考】
東大先端研ROLESでは、2023年度から本年度にかけて3回にわたり、タイの民主主義をめぐる研究セミナーを、京都大学東南アジア研究センター（CSEAS）と筑波大学人文社会系との共催で開催してきました。また、ピチャイ商務大臣の来日に際しては東大先端研への訪問を受け、講演会・シンポジウムを開催しました。今後もタイの自由・民主主義と政治経済発展の動向に注視し、中立的な立場から内在的な把握を試みていきます。

ピチャイ・タイ商務大臣の訪問と講演（2024年12月21日）

ピター・タイ前進党・前党首の来日講演（2024年12月17日）

タイの民主主義をめぐる第3回研究セミナーの開催（タイの前進党下院議員の訪問団の東大先端研への来訪、2024年6月5日）

タイの民主主義をめぐる第2回研究セミナーの開催（京大CSEAS・筑波大学人文社会系との共催、2024年2月15・16日）

タイの民主主義をめぐる第1回研究セミナーの開催（京大CSEAS・筑波大学人文社会系と共催、2023年7月14日）