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2024 / 06 / 10 (月)

ワルシャワの研究機関への訪問と協議

研究会「東欧、中・東欧、バルカン諸国の自由・民主主義の帰趨」の東野篤子座長を団長とする小規模の訪問団が、2024年5月26日・27日にポーランド・ワルシャワに滞在し、現地の外交・安全保障政策に関する最有力の研究機関の多くを訪問し、それらの機関の幹部との非公開会合を行いました。非公開会合では、中・東欧諸国における対露政策、ウクライナ支援、NATO、対米関係を主要な課題に意見交換を行い、ROLESとの将来の協力関係をめぐる協議を行いました。

訪問先の機関は、ジャーマン・マーシャル・ファンド(GMF)ワルシャワ事務所、ワルシャワ大学米国研究所(American Studies Center of the University of Warsaw)、ポーランド国際問題研究所(PISM)、東方研究所(Centre for Eastern Studies: OSW)等で、いずれも主要幹部との協議が実現しました。それらの会合にはカジミエシュ・プワスキ財団(Casimir Pulaski Foundation)、GLOBSECなどからも幹部が出席しました。

今回の訪問は、宮島昭夫・駐ポーランド日本大使をはじめとする在ポーランド日本国大使館員とROLESとの機動的な協力関係により実現しました。

右派ポピュリスト政党の台頭が目立つ欧州において、ポーランドでは昨年12月11日、元欧州理事会議長で親EU派のドナルド・トゥスク氏が首相に返り咲き、8年にわたる右派ポピュリスト政党「法と正義」(PiS)政権に終止符が打たれました。対露政策やウクライナ支援に際しても、ポーランドの新政権の立場は重要度を増しています。

ROLESでは、2023年9月のトルコ(イスタンブールアンカラ)訪問を皮切りに、今年2月のエストニア訪問等で、臨機応変・機動的に訪問団を組織し、日本にとって重要なテーマを学術的・戦略的に発信し、現地の主要な外交・安全保障調査研究機関との交流・協議を実施して、日本にとって戦略的に重要な地域・国への重点的な働きかけを行なっています。

重点領域の一つである中東では、従来からイスラエルのテルアビブ大学・ヘブライ大学・ライヒマン大学や、UAE等湾岸産油国のシンクタンクとの関係構築による最新の地域国際情勢の情報収集を進めてきたと同時に、ガザ紛争の勃発と長期化を受け、今年5月12−13日にはヨルダン・アンマンで大規模な戦略対話を実施しました。

中東と並び、中・東欧やバルカン諸国はROLESの戦略的な重点領域です。2月のエストニア訪問に続き、4月には服部倫卓・北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授がモルドバに調査出張を行い、5月7日には研究会「『西側』の論理の検証と再検討」座長の細谷雄一・慶應義塾大学教授が、慶應戦略構想センター(KCS)と共に、チェコのカレル大学戦略的コミュニケーション研究所(Center for Strategic Communication)との共催のラウンドテーブルを開催しました。細谷教授は5月8日にはハンガリーのブダペストのハンガリー国際問題研究所(HIIA)で講演を行いました。

今回の小規模・短期間のポーランド訪問では、欧州情勢の戦略的な鍵を握るポーランドに、対話のパートナーとなる機関・専門家との接点を多く見出しました。今回の調査訪問の蓄積を踏まえて、近い将来に、日本とポーランドの協力による、公開・非公開の政策協議の場を設定することを目指しています。

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