先進国であれ新興国であれ、スマートシティというコンセプトはさまざまな都市の問題を解決する万能薬として浮かび上がってきており、ASEAN の都市でも例外ではない。ASEAN 地域は経済成長を続けてきており、都市化はバンコク、マニラ、ジャカルタといった首都圏に限られず、各地で中小規模の都市が増加している。その結果、図1にあるように、ASEAN の人口の半分がすでに都市部に居住している。ASEAN の首都圏で見られていた交通渋滞、ごみ問題、大気汚染、地盤沈下、高い犯罪率、増える麻薬利用など、さまざまな深刻な都市の問題は、都市化の進展により各地に広がりを見せていることから、都市のガバナンスをどうするのかは、どの ASEAN 諸国にとっても喫緊の課題となっている。そうした状況において、「スマートシティ」は、さまざまな都市の課題を技術合理的に解決するアイデアとして脚光を浴びており、ASEAN 諸国の急速なデジタル化がスマートシティづくりを容易にする可能性を生んでいる。
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