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ラウンドテーブル「国際秩序の変化と日本企業に求められる戦略観――中東情勢・米国外交・法的論点」イスタンブール工科大学で開催

東京大学先端科学技術研究センター創発戦略研究オープンラボ(ROLES)は9月16日、アンダーソン・毛利・友常法律事務所との共催で、日本のビジネスリーダーを対象とした非公開のラウンドテーブル「国際秩序の変化と日本企業に求められる戦略観――中東情勢・米国外交・法的論点」をイスタンブール中心部のイスタンブール工科大学で開催した。3日間にわたる「第3回日本・中東戦略対話」の一環で、約20人が参加した。
イスタンブール工科大学で開かれたラウンドテーブル「国際秩序の変化と日本企業に求められる戦略観――中東情勢・米国外交・法的論点」

ラウンドテーブルは、東大先端研の滋野井公季連携研究員のコーディネートと司会で進められた。

滋野井公季氏


冒頭、東大先端研の池内恵教授(ROLES代表)が地域の安全保障状況について説明した。現在の中東情勢は2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃の影響が大きく、これを機に相互に矛盾する動きが始まって情勢が読めなくなったが、実際にはその翌日の10月8日の方が重要だと概観。「(反撃の)正当性を得たイスラエルがこれを機に、敵を壊滅させる決定を下した。『この機会を逃してはならない』との意識がイスラエルという国家に生まれた」と述べ、ハマスなどの背後に控えてこれまで攻撃が困難と思われていたイランそのものもイスラエルは攻撃の射程に入れたと分析した。
一方、イスラエルに対して軍事的外交的に不利なイランは、「弱者の戦略」としてホルムズ海峡の封鎖に踏み切り、当初は自壊行為と思われたものの、実際には開くか閉じるかの選択権を持つに至った。結果的にイスラエルもイランも勝者となり、その被害を受ける湾岸諸国が敗者になったと語り、この紛争の外側で状況を見守ってきたトルコの戦略的位置を強調した。

池内恵氏


京都大学の待鳥聡史教授は「アメリカ政治の長期変容から考える現状と今後の展望」と題して、中東での影響力を持つ米国の動向についてプレゼンをした。来る中間選挙では米国が少なくとも下院の多数を失うと思われ、トランプ政権は内政面で行き詰まる可能性が高いだけに、大統領権限が大きい外交軍事にさらに傾斜する可能性があると分析し、「ただ、大統領の単独行動主義のため、それがどのような形になるかは、サイコロの目のようにわからない。ウクライナの和平に注力する方向に行くのか、イランを徹底的に叩く方向に行くのか」と述べた。
一方で、トランプ政権の方針は単なる個人の意向だけでなく、個人志向が強まる長期的な傾向に沿っているとも説明し、「トランプ政権さえ終われば、という話にはならない」とも指摘。「アメリカ政治は過去にも深刻な対立を経験したが、振り子のように元に戻った。その『復元力』に期待する議論もある」と説明した。

待鳥聡史氏

アンダーソン・毛利・友常法律事務所の江本康能弁護士はトルコでのビジネスの可能性とその注意点について解説。「中東とトルコは全く別のマーケットだ」と述べ、中東ではイスラム法があったり政府のトップダウンで物事が決まったりで企業進出にはハードルが高いのに対し、大陸法系のトルコには安心感があると説明した。もっとも、トルコには欧州への輸送基地としての期待や国内市場の大きさがある一方で、インフレや通貨安などの難しさもあるという。
また、中東のビジネス拠点としてのイスタンブールの重要性にも言及し、「トルコでジョイントベンチャーをつくって中東に進出すると、リスクがある時にも撤退がしやすくなる」と指摘した。