論文

2021 / 04 / 15 (Thu.)

ROLES REPORT No.9 岡本隆司『東アジア漢語圏の歴史的「内在論理」―「琉球」を事例に』

香港の「独立」
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香港にいわゆる「雨傘革命」がおこって、若者たちを中心に選挙・政治の民主化を訴えたのは2014年、はや5年以上も前になる。
その後も香港政府・北京政府に抵抗をつづけた民主化運動は、周知のとおり昨年6月の「香港国 家安全維持法」の施行によって、新たな段階に入った。運動は弾圧を受け、下火になっている。ある人々は逮捕投獄 され、別の人々は逼塞を余儀なくされた。今後の帰趨もまったく予断を許さない。
その具体的な過程・由来・内実・展望は、あらためてつぶさに考察が加えられるだろう。ここでは、そうした考察に 備えるためにも、運動をめぐる論理・概念にあらかじめ着眼しておきたい。
運動の根柢でそれを成り立たせる「内在 論理」とその歴史的な由来を考えてみたいと思う。  あえてその典型をあげるとすれば、「独立」という概念であろうか。香港の民主化勢力はしばしば「独立」という 言辞を用いた。香港独立党というグループも存在したほどである。香港「独立」は運動の過程で人口に膾炙したフレー ズであり、統制の強まった現状を否定する意味あいが強い。  それがまた香港政府・北京政府の警戒を深めたこともいなめない。政府当局・中央=「中国」から離反するというニュ アンスを内包する概念だからであり、「香港国家安全維持法」を導き出す一因であったともいえよう。

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