中国と中東欧および西バルカン諸国による経済協力枠組みである「17+1」は、2021年2月9日に第9回目の首脳会議を開催した。
しかし習近平国家主席が主催してオンライン実施した同会議では、中東欧側の冷ややかな対応が 注目を集めることになった。同枠組みに対するヨーロッパ側の参加諸国側の評価は、2012年の発足以降しばらくは 非常に高かったことに鑑みれば、今回の首脳会議は「17+1」に対するヨーロッパ参加国の認識の変化を印象づけるものとなった。
本稿では、「17+1」発足以降の経緯を概観したのち、今回の首脳会議において、主に中国側からなにが語られ、 なにが語られなかったのかについて考察する。通常であれば、首脳会議ではなにが「合意」されたのかが重要なポ イントとなろうが、今回の会議では明確な合意事項がなく、中国側の一方的な発信に終始した側面が否めなかった。 まさにこのことが、かつて「17+1」に熱狂的に参加したヨーロッパ諸国の態度の変化を物語っているといえる。
本稿では、ヨーロッパ側の参加諸国の態度の冷却化の背景について論じたうえで、「17+1」および中国・ヨーロッパ関係 の今後の方向について考察することとする。
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