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【寄稿】イラン戦争の「接続性の地経学」に関する論考掲載(滋野井連携研究員)

ROLES客員メンバーの滋野井研究員の論考「[イラン戦争はどこまで続くか6]接続性の地経学――見えてきたこの戦争が終わらない根本的理由」が、2026年10月1日に『新潮QUE』Foresightに掲載されました。

本論考では、イラン戦争が、ホルムズ海峡をめぐる戦争から、海・空・陸の「接続と封鎖」をめぐる戦争へと変化しつつあることを分析しています。イランを取り巻く海上交通、航空路、陸上回廊は、いずれも完全に閉じられているわけではありません。しかし、どの回廊も以前と同じように開かれているわけではなく、不完全な封鎖が長期化することで、危機が日常化しつつあると指摘しています。

本論考は、前稿で扱ったイスラマバード合意後の展開を踏まえています。前稿では、同合意が戦争を終わらせたのではなく、「停戦条件をめぐる戦争」を「合意文の解釈をめぐる戦争」へと変換したと論じました。これに対し、本論考では、その次の段階として、米国がイスラマバード合意に戻る意思を示さず、海上封鎖に加えて航空制裁を通じてイランの空の回廊を閉じようとしている状況を検討しています。

特に本論考は、米国による対イラン航空封鎖を、戦闘機による古典的な航空封鎖ではなく、制裁を通じた実質的な航空封鎖として位置づけています。米国は、イランの航空会社に対して着陸、給油、発券、整備、地上支援を提供する第三国企業や空港に二次制裁リスクを及ぼすことで、イランの民間航空を国際ネットワークから切り離そうとしています。ここで重要なのは、イランの空を完全に閉じることではなく、イラン機が飛ぶたびに、空港、給油業者、整備会社、販売代理店が制裁リスクを計算しなければならない状態をつくることです。

また、空路が狭められるなかで、陸上回廊の重要性が高まっていることも論じています。海上輸送を陸路で完全に代替することはできませんが、海上封鎖と航空制裁が重なるなかで、イランに残された陸上接続路は戦略的意味を増しています。とりわけ、トルコ、パキスタン、アゼルバイジャンとの回廊は、イランが外部世界とつながるうえで重要な経路です。本論考は、陸上封鎖の本質は国境を完全に閉じることではなく、通関、銀行、保険、鉄道、トラック輸送といった越境サービスを、制裁リスクによって痩せ細らせることにあると指摘しています。

その上で本論考は、航空封鎖や陸上封鎖が、イランを静かに締め上げる手段であると同時に、軍事的エスカレーションの引き金にもなり得ると分析しています。イラン便を拒否する空港、米軍機が発進する基地、封鎖を支える港湾、給油・整備・保険・発券を拒む企業は、テヘランから見れば米国の封鎖網の一部と見なされる可能性があります。その場合、周辺国の空港や米軍基地、港湾、ホルムズ海峡は、報復や威嚇の対象となり得ます。

本論考はまた、ホルムズ海峡が依然としてイランにとって最大の戦略的レバーであることを強調しています。イランがホルムズ海峡をエスカレーションさせるためには、全面封鎖を行う必要はありません。機雷敷設、臨検、特定船舶への警告、ドローン攻撃、航路変更の誘発などによって、海峡を再び不安定化させるだけでも、湾岸諸国と世界経済に大きなコストを課すことができます。

さらに、本論考では、なぜイラン戦争の出口が見えないのかを、米国の「勝利なき圧力」という概念から説明しています。米国は決定的な勝利を得ておらず、イランも屈服していません。しかしそれでも、米国は戦争をただちに終わらせるべき負債としてではなく、時期を調整しながら圧力手段に強弱をつけられるコントロール可能な政策手段として扱い始めています。弾薬不足は、米国を停戦へ追い込む決定的制約ではなく、攻撃の頻度とタイミングを管理する制約条件になりつつあると論じています。

結論として本論考は、イラン戦争が「合意文の解釈をめぐる戦争」から、海・空・陸の「接続と封鎖をめぐる攻防」へと移行しつつあると指摘しています。海も空も陸も完全には閉じられていませんが、どの回廊も以前のようには開かれていません。封鎖は不完全であるからこそ長く続き、選択的封鎖は危機を日常化します。米国、湾岸産油国、航空会社、保険会社、船会社、エネルギー消費国は、この不安定な封鎖状態に適応し始めています。

また本論考は、この状況が「パックス・イラニカ」の限界も示していると論じています。イランは、中東秩序を自国抜きに組み立てることを拒否する力を持ち続けています。しかし、その拒否権は、安定した地域秩序へと転化しているわけではありません。戦争は、海峡、空港、国境、保険、備蓄、契約、燃料価格といった社会と市場の至るところに染み出し、不安定な封鎖状態が常態化しつつあると結論づけています。

詳細は以下よりご覧ください。

[イラン戦争はどこまで続くか6]接続性の地経学――見えてきたこの戦争が終わらない根本的理由
https://que.dailyshincho.jp/node/21276/

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