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【テレビ解説】テレビ朝日「ワイド!スクランブル サタデー」でホルムズ海峡問題を解説(池内教授)

池内恵教授が、2026年3月7日のテレビ朝日「ワイド!スクランブル サタデー」(放送時間午前11:31―午後0:15、出演部分は午後0時36分ー1時3分)に出演し、ホルムズ海峡を巡る情勢について解説を行いました。

記録のために、池内教授による3つのまとまりの発言部分の文字起こしを掲載します(直近の番組キャスターによる質問、合いの手を含む)。

【発言部分1】
午後0:43から
番組キャスター:池内さん、ホルムズ海峡を封鎖したイランの狙いを教えてください。

池内恵:イランにとっては、今回の戦争というのは、開戦と同時に、最高指導者とその家族、それから主要な軍事的な指導者が全部殺害されるという、そういう状況です。ですから、もう国家存亡の危機ということで、もうできることは何でもやるわけですね。取って置いてもしょうがない。手加減してもしょうがない。その中で攻撃を行ったイスラエルとアメリカにも反撃していますが、その間でアメリカの同盟国でアメリカを支えているGCC諸国、湾岸アラブ産油国に対して、矛先を向けた。そして、この湾岸アラブ産油国に矛先を向けると、それらの国々が日本などに輸出しているエネルギーを、輸出することが今、困難になっている。

番組キャスター:同盟国などへの影響を、世界的に影響を及ぼしたいという狙いがある。

池内恵:はい、それによって、つまりイランから言えば、まず報復をしないといけないわけですね。自分たちが、ここまで、日本で言えば、まあ、丸の内と霞ヶ関と市ヶ谷を全部一気に空爆されて指導者が亡くなっているという状態ですから、それに対して、とにかくやられたらやり返せないと、そうしないとまたやられるというところが第一。それからそのターゲットの中で、まぁいろんなところを狙いますけど、一番弱いところ、かつ影響があるところというものは、どうもこれはアラブ産油国、ペルシア湾岸の、ホルムズ海峡を通してエネルギーを売らないといけない国々に矛先を向けたと。

番組キャスター:そのホルムズ海峡が封鎖されている中で、トランプ大統領はアメリカの海軍がタンカーを護衛するとしていますが、これは本当に可能なのか、そして実際に護衛した例があるんでしょうか?

池内恵:過去にあります。だけどその時と状況が変わっているんですね。ですので、現状は、アメリカの軍が護衛することは、先ほどちょっと過去の例を挙げていただいたような、要は護送船団ですね、それによって、タンカーを守るっていうのは非常に難しいと思います。

番組キャスター:今は難しい。

池内恵:以前は、相手の海軍が何か撃ってくる、あるいは相手の海軍が機雷を敷設する。そうすると、それに対して相手の海軍を圧倒して、別の海軍がやってきて、相手の海軍に撃たせないようにする。それから機雷を掃海する。それによって護衛していたわけですね。ところが、それが今の場合は、イランは機雷など蒔いてないわけですね。何発かドローンを打つ。無人機を、空から、あるいは海から、無人のボートとかも使えますから、そういうものをいくつかのタンカーに突撃させる。それによって、タンカーが燃え上がる映像を見ただけで、あらゆるタンカーの持ち主というのは船を動かさなくなります。なにしろタンカーというのは、大きいものは200万バレルとか積んでいるわけですね。それって1バレルあたり例え100ドルだとすると、簡単に計算しても300億円なわけですね。積み荷だけで。タンカー自体100億円ぐらいしますから、その400億円ぐらい浮いていると思っていただきたいです。そうすると、そこでアメリカが「守ってあげる」と言っても、ドローンが飛んでくると、当たったらその400億円がパーになるということであれば、まあ船は動かないと思うんですね。ですから、イランは、何か物理的に障害を置いてホルムズ海峡を封鎖したのではなく、「事実上通れなくなっている」というのが現状だと思うんですね。

番組キャスター:そして、アメリカから自衛隊派遣が要請される可能性はあるでしょうか?

池内恵:このまま事態が長引いた時は、あり得ると思います。ただし、それはあの、つまりイランで政権は倒れたのだけれども、しかしドローンは飛んでくると(いうような場合)。だから、守らないといけないと。実際、本当に船が一緒に行けば守れるとは限らないのですが、そうしますと実際に守れるかどうかは別にして、アメリカ側につくという政治的な姿勢を示しなさい、と言われる可能性がやがては出てくる。今のところは、アメリカはアメリカとイスラエルだけでうまくできると、軍事作戦できて、すぐに勝利できる、と言っているので、今(自衛隊派遣を)言ってくる気配は、今この瞬間はないのですが、長期化した時に、これは「どこの責任ですか?」という話になるわけですね。その時に、「これは、まあイランの責任であって、そのイランの封鎖を解くためには、世界中の国がアメリカにつきなさい。そうでなければイラン側だ」ということを、アメリカが主張するような場面が出てくると「日本も来なさい」っていうことになると思うんですね。

番組キャスター:新しい情報ではトランプ大統領がSNSに、イランと合意するにはイランの無条件降伏しかないと投稿していますけれども。この戦争を長期化するとは、先生は。

池内恵:無条件降伏というのは、あの、イランが反撃してこなくなったら、特にミサイルで反撃しない、さらにはドローンで撃ってこなくなったら終わり、というふうに、おそらくアメリカが考えている。それは戦争が始まる前の交渉で突きつけていた内容もそうなわけです。ですので、アメリカから言えば、短期的に例えば二週間とか四週間と今言ってますけど、その間にもイランから何も飛んでこないようにできると、それをもって、実際に無条件降伏しますという勢力がイランに出てくるかどうかわからないんですが、アメリカ側は「もう(イランが)何も言ってこない。何も撃ってこないから、勝った」というふうに言って終わらせることができる。ただし、その後もドローンの攻撃が続けば、アメリカが戦争を終えたけれども、ホルムズ海峡に船は通らないということが起こり得ます。

【発言部分2】
番組キャスター:その今後の最高指導者についてはいかがでしょう。どう考えれば良いでしょうか。

午後0:50から
池内恵:今、メディアで名前が出ている、例えばハメネイ氏の次男といった可能性は私はそれほど高くないと思います。もしそういうそのように現体制、イランの体制が決めたとしても、そのハメネイさんの次男というのは、特にそんなに有力な人じゃないですから。単に、殉教した指導者のその息子が後を継ぐという「決意」とか「継続性」を示すだけだと思いますし、まずその瞬間にイスラエルが暗殺しますので、ほとんど政治的な意味はないと思います。で、現実に革命防衛隊が戦争を戦っていますので、彼らが今指導しています。少なくとも戦時体制を指導しています。で、彼らがうまく話を合わせられるような人が選ばれるんだと思いますが、それは二の次だと思いますね。すでにイランの反撃ってのはちゃんと機能しているので、最高指導者がいなければ戦えないという状況ではなさそうである。そうであれば、イスラエルの攻撃が必ず来ること分かっているにもかかわらず、「この人です」と言って出してくる必要はないんじゃないかと思いますね。

【発言部分3】
番組キャスター:池内さんは、そのエネルギー危機にもつながりかねない状況ですけれども、その事態の鎮静化に向けて日本はどういったことをする必要があると思いますか?

(午後1時1分から)
池内恵:今回、日本は一番、本当に影響を受ける国です。中国は量的には大きく影響を受けますが、中東にはエネルギーを日本と比べれば、半分ぐらい(の割合)しか依存していないですし、例えばロシアなどの別の供給源もあります。だが日本はそれがほぼないと、そういう意味では、先ほどは畑中さんが、二ヶ月ぐらい経つと影響が、ガソリン価格などに影響が出るのはそれぐらいとおっしゃいましたが、私はもっと早い可能性はあると思いますね。というのは、タンカーというのはだいたい20日から25日ぐらい、まぁ三週間ぐらいで日本に着く。つまり、今は、すでにホルムズ海域を抜けて日本に向かっているタンカーが、戦争が始まってから一週間ですから、まだいると。あと二週間はいるでしょう。しかし、そこまでホルムズ海峡を通れなければ、もう本当にものが来なくなります。その時に日本は別のところから持ってくる手段というのはほとんどありません。それは非常に大きい問題だと思います。他の国は、それ以外のところから持ってくる手段がある国は多いですが、日本はほとんどありません。