ROLES客員メンバーの
滋野井研究員が、2025年12月16日にアブダビで開催されたTRENDS Research & Advisory主催・日本政府後援のシンポジウム「Blueprints to Breakthroughs: Advancing AI & Space Collaboration Between Japan and the UAE」に登壇しました。
滋野井研究員は、同シンポジウムの「Session 3: Harnessing Japan’s Innovation Edge: Applications Across Sectors」において、日本のAI・ロボティクスの役割と日・UAE協力の可能性について講演しました。同セッションには、東京大学先端科学技術研究センターの稲見昌彦教授、門内靖明准教授、MBZUAIのHao Li教授も登壇し、TRENDSのRashid Al Zaabi氏がモデレータを務めました。
講演では、「AIがデジタル経済の頭脳であるなら、ロボティクスはその身体である」と位置づけ、日本が世界の自動化を支える物理的基盤を築いてきたことを指摘しました。特に、日本は産業用ロボットや自動化機器の主要供給国であり、自動車、電子機器、半導体、電池、精密製造などのグローバル・サプライチェーンにおいて、日本企業のロボット、制御技術、センサーが重要な役割を果たしていると説明しました。
また、日本国内においてAIとロボティクスは、単なる効率化やコスト削減の手段にとどまらず、高齢化、労働力不足、災害リスク、サービス品質の維持といった構造的課題に対応する社会インフラとして機能していると論じました。物流、製造、医療、介護、ホスピタリティなどの分野では、協働ロボットやAIを活用した自動化システムが、労働制約の下で生産性を維持するための重要な手段になりつつあります。
さらに、日本のAIにおける比較優位は、巨大な汎用基盤モデルの構築そのものよりも、物理空間、規制産業、安全性が重視される領域における、信頼性の高いドメイン特化型AIにあると指摘しました。日本は、ロボティクス、組込みAI、産業知見、安全性、ガバナンス実務を組み合わせた「AI+ロボティクス・スタック」を提供し得る存在であり、UAEにとっても信頼できる長期的パートナーになり得ると述べました。
日・UAE協力については、日本が有するロボティクス、精密制御、安全性、ヒューマンセントリックな設計思想と、UAEが有する政府主導の明確なAI戦略、資本、計算資源、規制の機動性が高い補完関係にあると分析しました。その上で、物流・Eコマース、医療・病院運営、高齢化対応、製造業の高度化、建設、農業、公共サービスなどを、今後の協力領域として挙げました。
また、国際的な技術競争が激化するなかで、「ソブリンAI」の重要性にも言及しました。ソブリンAIとは、データ、インフラ、人材を自国で管理しながらAIを開発・運用・統治する能力を意味します。滋野井研究員は、米国のプラットフォーム中心モデル、中国の国家主導型インフラ輸出モデルとは異なり、日本は能力構築、技術移転、現地人材育成を重視する協力モデルを提供できると説明しました。
最後に、日・UAE協力は二国間の個別プロジェクトにとどまるべきではなく、グローバルなAI・ロボティクス・プラットフォームの構築を目指すべきであると述べました。日本の工学的知見とUAEのAIインフラ、資本、開発協力の経験を組み合わせることで、アフリカをはじめとするグローバルサウス向けのAI・ロボティクス・ソリューションを共同設計する可能性についても提起しました。
シンポジウムの詳細は以下よりご覧ください:
Blueprints to Breakthroughs: Advancing AI & Space Collaboration Between Japan and the UAE
https://trendsgroup.org/blueprints-to-breakthroughs/?srsltid=AfmBOopGAx7nGJGvZvQ98j3bjz5w8Jq7fMqipjMsauMoanBOVZXrYRZJまた、シンポジウムの模様はYouTubeにも公開されています:
https://www.youtube.com/watch?v=xPY8XlUyoxk