はじめに
新疆ウイグル自治区は中国共産党のガバナンスの「最も弱い環」であり(鈴木 2014:4)、新疆の安定なしに中国全域の安定もない。
新疆に対しては特に近年、国際社会の関心が高まっており、2009年には漢族とウイグル族の大規模衝突へと発展した「ウルムチ事件」が生じたほか、2010年代前半に生じた「天安門広場テロ事件」、「昆明駅テ ロ事件」、「ウルムチ駅テロ事件」をはじめとするテロ事件の頻発は世界に大きな衝撃を与えた。さらに目下、米中 摩擦の文脈でウイグル族をめぐる問題が焦点化し、新疆は国際政治経済の大きなうねりの中 に巻き込まれている。
そこで本コンセプトペー パーは、以下の概念図が示すように、国内要素 として「1. 歴史・文化」、「2. 政治」、「3. 安全保 障」、「4. 経済開発」、国際要素として「5.リージョ ナル・レベル」、「6.グローバル・レベル」に分類 し た 上 で 、各 側 面 か ら 新 疆 な ら び に ウ イ グ ル 族をめぐる諸問題の全体像を提示することを 目的とする。
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