コメンタリー

2024 / 11 / 25 (Mon.)

ロシア北極圏における核実験場の動向 その2(ROLES SAT ANALYSYS No.11)

 ロシア北極圏のノーヴァヤ・ゼムリャー核実験場では、依然として活発な活動が観察できる。ROLES SAT ANALYSIS第10号では光学衛星を用いてその様子を紹介したが、第11号では合成開口レーター(SAR)衛星による続報をお伝えする。秋以降、北極圏では悪天候の日が増え、光学衛星による観測が難しくなるため、気象の影響を受けにくいSARを使用するものである。
 ノーヴァヤ・ゼムリャー核実験場の管理施設は、バレンツ海に面したセーヴェルヌィ周辺に集中しているが、ここでは大規模施設の整備が続いていることが確認できる。画像①には昨年12月と今年10月初頭時点の画像を示したが、以前から建設が行われていた施設Aがほぼ完成に近づく一方、Cの区画が新たに整備され始めた。B区画でも建造物や資材が増加している。
ROLES_SAT_ANALYSIS_Img01.png 770KB


画像②はセーヴェルヌィに面した埠頭を撮像したものである。ソ連時代の核実験は、流氷の少ない夏〜秋までの間に船舶で資材を搬入して実施することが多かったとされる(通常は8-10月に集中的に実施)。画像②においても、7月から10月の間に活発な船舶の出入りが確認できる。その目的は明らかでないものの、画像①に示す施設建設のために資材を搬入している可能性がまず考えられよう。
画像③には、核実験用坑道の一つで見られた変化を示した。坑道の付近に資材が集積される動きが見られるものの、その後は目立った動きがない。同様の動きは過去にも観察されており、冬を前にしたメンテナンス等が行われている可能性もある。
ROLES_SAT_ANALYSIS_Img02-03.png 1.46MB

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