2025年7月11日に、ギブール・ドラモット・フランス国立東洋言語文化学院教授/東京大学先端科学技術研究センター客員上級研究員による
セミナー「第2次トランプ政権と国際安全保障環境:欧州とアジア協力の可能性」が開催されました。
セミナーは池内恵・東京大学先端科学技術研究センター(グローバルセキュリティ・宗教分野)教授による司会と紹介によって開始されました。ドラモット教授の講演では、西欧主要国、特にフランスの対インド太平洋への安全保障協力の事例が、マルチラテラル、ミニラテラル、バイラテラルのそれぞれの次元で包括的に紹介され、その理念と実態が検討・評価に晒されました。
山口亮・東京国際大学国際戦略研究所准教授・Eトラック運営機構長補佐(元・東京大学先端科学技術研究センター・グローバルセキュリティ・宗教分野特任助教)がディスカッサントとして登壇し、オーストラリアや南太平洋島嶼国を特に念頭に置き、欧州のグローバルな安全保障への能力の限界や、西側諸国と南太平洋島嶼国との間での安全保障と防衛に関する認識ギャップ、中国の経済援助を通じた安全保障をめぐる関与の増大などについてコメントが行われ、活発に議論が行われた。
小泉悠・東京大学先端科学技術研究センター(国際安全保障構想分野)准教授はロシア・ウクライナ戦争の長期化や米トランプ政権による西側同盟への関与の不安定性や限界の露呈を踏まえ、今後の日本と欧州の安全保障の現実的な協力の地点をめぐる示唆や提言が行われた。ドラモット教授や池内教授との間で、ロシア・ウクライナ、中東、インド太平洋という三つの安全保障課題をめぐる欧州の関与度の比較衡量や、米・欧の安全保障上のクリティカルな技術及び生産力の限界をめぐる考察、日・欧協力の可能性への慎重な検討がなされた。
セミナーにはシンクタンクの研究員や全国紙外信部デスクなどの海外駐在・特派員研究者が集い、研究者との意見交換を行なった。