東京大学先端科学技術研究センターROLESは、研究会「ユーラシア諸地域の内在論理」の活動の一環として、7月23−27日にかけて、川島真・東京大学大学院総合文化研究科教授(同研究会座長)と青木(岡部)まき・日本貿易振興機構アジア経済研究所(同研究会メンバー)を、調査訪問のために東北タイに派遣した。
訪問の主たる目的は、中国・タイ間の高速鉄道の建設・開通が東北タイの社会に及ぼす影響の実地調査である。
現在建設中の中国とタイとを結ぶ高速鉄道に対してタイ東北地方の諸主体が抱く期待や不安、対中認識や中国の関与の実態について、現地のインフォーマントにヒアリングと意見交換を行い、専門家と共に中国とASEANとの関係について意見聴取・意見交換を行った。
現地での調査は、マハーサーラカーム大学政治行政学院(COPAG)副学部長のSunyarat Meesuwan准教授 による協力の下に実施された。調査・意見交換対象は、タイの東北地方コンケーン県およびマハーサーラカーム県の大学や地方政府機関、現地企業、在外公館(領事館)などである。
これらの意見交換やインタビューを通じて、東北タイにおける中国観、また高速鉄道開通によって生じると考えられている生産、物流、あるいは不動産価格の変容について聴取することができた。そこでは、ラオスとの違い、すなわちタイの自主性が強調されながらも、同時に自主性を重視するからこそ様々な計画に多くの時間を要するといった事情も理解できた。詳細は研究会にて報告する予定である。