ROLES活動報告(2025年2月)
※本稿は、ROLESNEWSLETTER No.3に編集後記として掲載されたものである
「2月は日数が足りない」。研究室でシンクタンクROLESを運営するようになってから身に染みて感じる。「月毎」に終わらせなければならない用務、「今月まで」に達成したい目標があり、ひと月が3日短ければ、10%少ない時間でこなさなければならない。2月は大掛かりな公開イベントが多かった。2月5日に「科学技術と安全保障ダイアログ第1回『衛星画像で何がわかる?』」、2月7日に「ROLESコモンルーム・トーク第1回(宮島昭夫・前ポーランド大使)」と、二つの新しい枠組みの第1回を開催した。
2 月19日には、1年前にROLESから訪問団を組んで訪れて協力関係の構築を約したエストニアの国際防衛安全保障センター(ICDS)のクリスティ・ライク所長が来日。ラウンドテーブルの相手としてROLESを選んでくださった。そこで「Gray Zones at the Sea: Common Threats and Areas of Cooperation between Japan and Estonia in the Regional and Global Contexts」を企画し、バルト海と東シナ海・台湾海峡で共に最新の課題となっている海底ケーブル問題を論じる最強の布陣で待ち構えていたところ、2月14−16日のミュンヘン安全保障会議で米欧の亀裂が露呈し、そこに居合わせたライク所長を囲む会合となれば、在京の外交団が詰めかけ、緊迫した議論が繰り広げられた。2月24日にはウェビナー「ロシア=ウクライナ戦争の和平は可能か」、2月25日には「東京大学ROLES世論調査プロジェクト報告 日本人の世論にみる外交・安全保障」で、大規模な聴衆に向けて語りかけた。
この先、共催のイベントが目白押しである。ROLESからは追加の予算もほとんど要せず、ROLESの企画や発信能力を評価して対等なパートナーとして遇していただけることは、嬉しい限りである。3月1日には東京外国語大学国際関係研究所(篠田英朗教授・吉﨑知典教授)との共催で、リサーチセミナー「The Impacts of the Russo-Ukrainian War: Theoretical and Practical Explorations of Policy Agendas for Peace in Ukraine」を、3月6日には北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター(服部倫卓教授)との共催でマイケル・キメッジ・ウィルソンセンター・ケナン研究所長を迎えた公開講演会「トランプ復活とロシア・ウクライナの行方」、そして年度末も大詰めの3月31日に、東京大学情報学環(渡邉英徳研究室)が主導し、中東カタールのアル=ジャジーラと連携して、国際・産学連携で実施される大規模シンポジウム「Beyond the Headlines—データ・メディア・テクノロジーで読み解くガザ危機の深層—」が、東大本郷キャンパスで行われるのに際しては、主催に名を連ねさせていただき、登壇者を配置する。今月もこのニュースレターを出せたことに喜びを感じる。年度末を走り切って4月1日を迎えれば、3ヵ年度にわたる大型プロジェクトも、残すところ1年となる。 (池内恵・先端研教授/ROLES代表)