1990年以降、ソ連/ロシアは核実験を実施していない。また、ソ連が保有していたセミパラチンスクとノーヴァヤ・ゼムリャーの2大核実験場のうち、前者はソ連崩壊直前に閉鎖され、その後はカザフスタンの独立によってロシアの管轄を離れた。
これに対してノーヴァヤ・ゼムリャー核実験場は、依然としてロシア国防省第12総局(12GUMO)の管理下に置かれている。核爆発を伴う実験が1990年から実施されていないことは前述のとおりであるが、核弾頭の信頼性を確認するための未臨界実験等に使用されてきた。また、2019年には何らかの核エネルギー反応を伴う実験が行われた可能性を米国政府は指摘しているほか、原子力巡航ミサイル「ブレヴェストニク」の発射試験場もノーヴァヤ・ゼムリャー島に置かれている。
さらに2024年夏以降、一部の核実験用坑道付近において、内部から排土を搬出する動きが観察されるようになった。特に9月時点に撮影された衛星画像からは、相当量の排土が確認でき、坑道内で大規模地下作業が実施されている可能性がある(周辺で行われている地上部分の掘削と関係している可能性もある)。これと同時にノーヴァヤ・ゼムリャー島内では大規模な施設建設、大型輸送船舶の接岸、原子力公社「ロスアトム」の社用機の飛来といた動きが衛星画像で確認されている。